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'04 October ●これぞお祭り音楽-Black Bottom Brass Band | |
老舗百貨店の三越が創業100周年を記念して日本橋本店で「100年に一度の売りつくしセール」を開催中なんだとか。さすが100年に一度だけあって一億500万円の千両箱とか、一億2600万円のガレの花瓶とかなんだかすごいセールらしい。TV−CMも浮世絵風の賑やかなイラストに「てえへんだ、てえへんだ」の掛け声で100年に一度ムード満載だ。 このCMで使用されている曲がBlack Bottom Brass Band の「ホッチリホーンズ」。お祭り気分をさらに煽る。 Black Bottom Brass Band(以下BBBB)はおそらくは日本で唯一のニューオリンズスタイルのブラスバンドだ。 ニューオリンズのブラスバンドは、一般にブラスバンドという言葉から連想される音楽とはまるっきり違う。 アメリカ音楽地図の中で、ミシシッピ川を中心にシカゴから南部へ下るいわゆるブルース・ラインががっちり存在するのだが、不思議なことにニューオリンズはその真っ只中にあるにもかかわらず全く独自の、現地の生活に根ざした音楽スタイルが確立されている。それはルイジアナの歩んできた歴史と大きく関係するのだが、そのなかでもブラスバンドは、黒人社会においてお祭りからお葬式まで事あるごとに行われる「セカンドライン」と呼ばれるパレードの音楽で、ニューオリンズの生活に欠かせない最もニューオリンズらしい音楽と言っていい。 僕が初めてBBBBを知ったのは96年のこと。ニューオリンズスタイルのブラスバンドが日本にあったのかと驚き、そしてこの上なく楽しそうに演奏する若者たち(まだ大学生のメンバーもいたと思う)を見てこれはまさしくセカンドラインじゃないかといたく感激した。その時すでに関西では大変な人気者で、東京でも何度か足を運んだライブはいつも超満員、若い女の子の熱気で窒息しそうになったこともある。(これは本当) ニューオリンズの代表的なブラスバンドThe Dirty Dozen Brass Bandに憧れて結成されたBBBBだが、そもそもはブラスバンドがどうとかニューオリンズがどうとか全く関係なく、ストリートで女の子たちが「かっこいい」「楽しい」と支持してメジャーになったのだ。でもこれって音楽の原点じゃないだろうか。女の子たちの「新しいもの」を見つけ出す嗅覚はさすがです。 そんなBBBBだが、先人達のスタイルを踏襲していた時期を経て最近ではオリジナリティも高まりおもしろいアルバムを次々に出している。でもそれはそれとしてやはり彼らの魅力はライブ。会場を一瞬にしてお祭りにしてしまうBBBBのライブは一度体験することを強力にお勧めしたい。 ![]() ★Black Bottom Brass Band(ブラック・ボトム・ブラスバンド) 1993年大阪で結成。その音楽スタイルに相応しくストリートでゲリラライブ活動。関西で大人気となる。1998年東京進出。ニューオリンズ録音のアルバム、KYONや上田正樹等との共同制作、はたまた自主制作のカセットテープなど精力的に作品を発表しつつ、ライブで全国を飛び回る。 Web Site http://www.j-welnet.com/bbbb/ | ![]() 『ワッショイ☆スター』 BLACK BOTTOM BRSS BAND ビクターエンタテインメント VICL-61420 (「ホッチリホーンズ」収録) |
![]() The Dirty Dozen Brass Band | BBBBのルーツである本場(!)のブラスバンドを紹介しよう。 ニューオリンズの黒人社会の冠婚葬祭音楽であったセカンドラインだが、伝統的なスタイルにR&B Jazz Funk などの要素をミックスして新しいブラスバンドが出来上がった。その先陣を切って活動し続けてきたのがThe Dirty Dozen Brass Bandだ。今年で結成25年。一時期ピアノやギターを入れてどうしちゃたの?と思ったがこの頃はめでたく元のスタイルに戻ったようだ。 | ||
ReBirth Brass BandはDirty Dozen Brass Bandの弟分的存在だ。とはいえ80年代前半に結成、89年にはアルバムデビューしているので、もはや大御所と言えるだろう。あのカーミット・ラフィンズも在籍していたバンドだ。 ReBirthのほうがよりファンク色が濃く、あくまでもストリートに根ざしたスタイルを貫いている。 | ![]() ReBirth Brass Band | ||
![]() New Birth Brass Band | その名のとおり次世代のブラスバンドと言っていいだろう。New Birth Brss Bandは若くて勢いのあるバンドだ。Jazz やFunk に加えてIndian chantsや、今のバンドらしくHip Hopなどの要素もとり入れて今最も元気のいいバンドだ。今年のBig Easy Award(現地の音楽賞)のBest Brass Band賞に輝いている。 | ||
デパート繋がり(?)で余談をひとつ。 今シブヤパルコのTV-CMで使われているのはRip Slymeの「SAPZZO」という曲だが、どうもBBBBの曲とイメージが重なってしょうがない。 ニューオリンズとHip Hopなんてもとは全くの別世界のものだったはずだが、実は彼らは以前から交流があり、よくタイバンしていたのだ。そんなことで、お互いに影響を与え合っていたのかもしれない。なかなかいい感じだ。 | ![]() SHIBUYA TO PARCO |
【BACK NUMBER】 ●TVから'70の風が吹いてくる('04 May) ●トータス松本の『TRAVELLER』を聴こう!('04 June) ●破壊と再構築-AEROSMITH『HONKIN' ON BO BO』 ('04 July) ●Summertime あれこれ ('04 August) ●TV−CMが‘文化’だった頃・・資生堂『音椿』('04 September) |
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