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'04 September ●TV-CMが‘文化’だった頃・・資生堂 『音椿』 | |
思えば1970年代半ばというのは、テレビコマーシャルの高度成長期だったと言えるかもしれない。 とりわけ化粧品会社は、毎年春と秋には大々的なキャンペーンを張り、きまって春には口紅、秋にはアイシャドウの新商品を発表していたし、それが社会的に話題に上ったりしたこともあった。僕はそのうち口びるが春、目が秋の俳句の季語になるに違いないと思ったものだ。 でもそうはならなかった。1980年代になると大CMブームがおこり、新卒大学生がCMプロダクションに大挙して押しかけたことも今は昔、ここ10年ほどはすっかり・・・いや、今だって制作に携わる方々は大変な努力をしている。CMは良くも悪くも最も時代を反映するものなのだ。 こんなCDを見つけた。 資生堂のCMソングのコンピレーションCDだ。1975年から2003年までのCMソングを、権利の関係なのか、東芝EMIとソニー・ミュージックからそれぞれ「白盤」、「紅盤」として発売している。 その名も『音椿』。資生堂のシンボルマークである椿のマークを前面に出しているあたり、このCDに対する力の入れようが窺える。 資生堂の宣伝部はたいていの企業のそれと違って広告代理店の機能を備えていて、クリエイティブ作業を社内で行っているので、どこよりも「資生堂らしさ」を強固に守って広告を制作することができたのだろう。一環したイメージを貫き常にインパクトのあるCMを制作してきた。音楽においてもその時代の最も勢いのあるアーチストと仕事がしたいというクリエイターの気持ちが伝わってくる。 とはいえこのCD、選曲はレコード会社主導で行われたようだが、90年代の曲になると「なんだっけ?」というものもあるし、メインキャンペーン以外の曲もある。著作権の問題もあるだろうが、どうせなら聴く者を懐かしさの海で溺れさせるほどのものを出して欲しかったと思わなくもない。が、まぁあまり古いものばかり集めるより、30年の時代の変遷が見える分これで良いのだろう。 今よりもずっとずっとCMが時代や季節と結びついていた頃のあの懐かしい曲を聴くだけで、CMの映像が浮かぶのはもちろん、「あの頃」の空気や個人的な思い出まで呼び覚まされることもあるんじゃないだろうか。 |
![]() 『音椿』 〜the greatest hits of SHISEIDO〜白盤 SONY MUSIC MHCL-312 | 『音椿』〜the greatest hits of SHISEIDO〜白盤 1.オレンジ村から春へ/りりィ(1975) 2.マイピュアレディ/尾崎亜美(1977) 3.サクセス/ダウンタウン・ブギウギ・バンド(1977) 4.君のひとみは10000ボルト/堀内孝雄(1978) 5.裸足の季節/松田聖子(1980) 6.蜃気楼/クリスタルキング(1980) 7.い・け・な・いルージュマジック/忌野清志郎・坂本龍一(1982) 8.woman"Wの悲劇"より/薬師丸ひろ子(1984) 9.メトロポリスの片隅で/松任谷由美(1985) 10.サレンダー/布袋寅泰(1994) 11.朝日のあたる道/オリジナル・ラヴ(1994) 12.精一杯の微笑み/高橋幸宏(1995) 13.コマソンNo.1/ウルフルズ(1996) 14.TOKYO FANTASIA/山下久美子(1996) 15.Still/矢沢永吉(1997) 16.Girls Be Glamorous/氷室京介(2001) 17.流し目プレイ☆/小林桂(2003) |
![]() 『音椿』 〜the greatest hits of SHISEIDO〜紅盤 東芝EMI TOCT-25128 | 『音椿』〜the greatest hits of SHISEIDO〜紅盤 1.揺れるまなざし/小椋佳(1977) 2.春の予感-I've been mellow-/南沙織(1978) 3.時間よとまれ/矢沢永吉(1978) 4.夢一夜/南こうせつ(1978) 5.燃えろいい女/ツイスト(1979) 6.風は秋色/松田聖子(1980) 7.メイク23秒/桃井かおり(1981) 8.A面で恋をして/ナイアガラ トライアングル(1982) 9.め組のひと/ラッツ&スター(1983) 10.くちびるヌード/高見知佳(1984) 11.Go AWAY BOY/プリンセス プリンセス(1988) 12.彼女とTIP ON DUO/今井美樹(1988) 13.go for it!/Dream Come True(1993) 14.咲き誇れ愛しさよ/Wink(1993) 15.これが私の生きる道/Puffy(1996) 16.やさしい気持ち/Chara(1997) 17.NEO UNIVERSE/L'Arc-en-Ciel(2000) |
【BACK NUMBER】 ●TVから'70の風が吹いてくる('04 May) ●トータス松本の『TRAVELLER』を聴こう!('04 June) ●破壊と再構築-AEROSMITH『HONKIN' ON BO BO』 ('04 July) ●Summertime あれこれ ('04 August) |
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