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'05 March ●珠玉のジャズヴォーカルを! | |
![]() Maxine Sullivan ![]() Ruban Bleu Years: Complete Recordings 1944-1949 (1998 Release/Baldwin Street Music) | ヒューレット・パッカードのTV−CM「Change + HP」で使用されている古いスタンダード・ナンバー『Blue Skies』を歌っているのは誰だと思いますか?ビリー・ホリディ?初期のエラ・フィッツジェラルド?ダコタ・ステイトン? 正解は、Maxine Sullivan(マキシーン・サリヴァン)。 マキシーン・サリヴァンはエラやビリー・ホリディなどとほぼ同時期の1930年代から音楽活動を開始し、亡くなる半年前の1986年9月まで約50年間に渡って歌い続けたジャズヴォーカリストだ。 “ジャズヴォーカル”と“ヴォーカル”との違いは何かというと、ジャズのナンバーを歌うか否かでは、もちろんない。ジャズ・ヴォーカルである条件はただひとつ、「スウィング感」があることだ。 素晴らしい声とテクニックを持って、ジャズのスタンダードを歌っていても「スウィング感」が感じられない歌手は大勢いる。では「スウィング感」とは一体なんだというと、言葉で説明することなど当然無理だけど、ここでひとつ判別方法をお教えしよう。 それは彼or彼女の歌を聞いて、からだが動くかどうか。踊りだしたくなったり、肩が少し揺れたり、それはいろいろだけど、最初に身体のどこかが(僕の場合は胃のあたりが)ムズムズしてくれば、それがスウィングだ。 さて、このマキシーン・サリヴァン。彼女のアクのない柔らかな歌声を聞くと、自然と身体が揺れる。彼女の特徴は、なんといってもその軽妙でライトなスウィング感と歌詞を丁寧に表現する口跡のよさだろう。 ところが彼女のキャリアのスタートとなり、やがて彼女の代名詞ともいえる曲になったのは意外なことにスコットランドのフォークソング「Loch Lomond」だった。だが、このスコティッシュ・フォークソングも今では多くの歌手に歌われ、彼女によってスタンダード化されたと言っていい。 もちろん、数多くのジャズのナンバーを録音もしているし、例えば「Stop! You're Breaki' My heart」や「My Ideal」の涼しげで軽やかな雰囲気は秀逸だ。 マキシーン・サリヴァンと同時代の'30〜'80(ビリー・ホリディは早くに亡くなってしまったが)に活躍した代表的なアーチストを挙げてみた。(ちょっと代表的すぎるか?) それからあまりに数が多くてとてもベスト1は選べないが、一枚だけアルバムもピックアップしてみた。聴き比べてみると面白いと思う。 |
![]() Billie Holiday | ≪Bllie Holiday≫ “レディ・デイ”ビリー・ホリディがこの世を去って45年以上が過ぎたが、彼女の歌はいまだに人を虜にする。ビリーホリディはジャズ・ヴォーカリストであるとともに、ブルース・フィーリングも強く併せ持っている。彼女の壮絶な人生はブルースそのもので、何かと引き換えに歌を手に入れたのではと思ってしまうほどだ。 ![]() | ||
![]() Sarah Vaughan | ≪Sarah Vaughan≫ 「うまいジャズ・ヴォーカル」という話になったら、必ずエラ・フィッツジェラルドとともに筆頭に名前が挙がるのがこのサラ・ヴォーンだが、そのスタイルはうまさより個性が際立ったものと言っていいだろう。 豊かな声量と深みと粘りのあるヴォーカル・スタイルで歌うスタンダードナンバーは、新しい解釈でサラならではの魅力がある。 ![]() | ||
![]() Ella Fitzgerald | ≪Ella Fitzgerald≫ サラといえばエラ、ジャズ・ヴォーカルの二大女王と呼ばれるふたりだが、エラこそが史上最高の女性ジャズ・ヴォーカルだと思う。自由自在に歌を操るその実力には感嘆するほかない。エラの歌は軽快にして優美、成熟したジャズの最高峰だ。 ![]() |
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